プロローグ

宮城県仙台二華中学校。

105年の歴史と伝統を誇る,宮城県第二女子高等学校が生まれ変わり,男女共学・併設型中高一貫教育校となった。それに伴い新設された中学校である。

開校は平成22年4月。 ちょうど私の長男が中学1年生となる時期である。

季節は夏。テレビやネットで「仙台二華」「二華中模試」の言葉が目に付くようになっていた。 言葉ではうまく説明ができないが,「受けさせてみたい」という気持ちが次第に強くなっていた。

「子供に最高の教育を受けさせてやりたい」そんな純粋な親心ではない。「勉強しなかった小中学校時代の自分に対する後悔」がその理由だったと思う。

私の小学校時代を振り返ってみると,勉強が大嫌いだった。 読む本がなくて教科書ばかり読んでいたから,テストの点数は良かったのだが,授業でやる事が全部分かってしまうため次第に授業がつまらなくなり,それが態度にも表れてしまった。

小学生の成績はペーパーテストよりも授業態度で決まると言っていい。 だから学期末に渡される通信簿の成績はいつも悪かった。

通信簿を渡されると,それを肴に酔っ払った父親から延々と説教される。これは本当に苦痛だった。 見かねた母親が後日,問題集を買ってきてやらせようとするのだが,強制される勉強が続く訳もない。かくして私は勉強が大嫌いの少年になってしまった。

勉強が大嫌いの少年が中学校に入るとどうなるか。 当然のように,授業について行けなくなる。授業について行けないから,部活やゲームに夢中になり,さらに授業について行けなくなる。 まさに負のスパイラル。 この負のスパイラルは何と,高校3年生まで延々と続いたのである。

今思えば,私に足りなかったのは,適切に導いてくれる人と,そのアドバイスを受け取る素直な心だった。その2つがあれば,少なくとも少年時代の自分に悔いを残す事はなかったであろう。

私は両親に対して,生んでもらい,育ててもらい,教育を受けさせてもらった事には大変感謝している。しかし少年時代の私を適切に導いてはくれなかった。その1点だけは今でも残念に思う。

学校から帰るとランドセルを玄関に放り投げ,友達の家へ入り浸り,ゲームやカード収集に興じる。そんな長男の姿を見て,この子には適切な導きが必要だと強く思った。

力で屈服させて勉強させる事は簡単だ。 だがそれでは私と同じで勉強が嫌いな少年を一人増やすだけ。 勉強の必要性を,社会を見てきた親が自分の言葉で説く。 させるのではなく一緒に勉強する。

カネだけ出して塾任せにするのではなく,どこまでも積極的に首を突っ込む。

「俺とお前が力を合わせたら,不可能なんてないんだ」 私は長男を諭した。

こうして親子での勉強が始まった。

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