番外編 その5 K先生の言葉

私の母校(東北学院大学)に,K先生という方が勤務されている。小柄で化粧っ気のない女性であるが,研究に対する情熱のようなものを感じる方である。

私とは合気道つながりで縁があり,長男の夢を具体化するに際し,大いにご協力頂いた人である。いわば長男の恩人である。

#その恩人を私は,稽古でケチョンケチョンにしている(笑)

長男に対してかけてくれた「K先生の言葉」をいくつか紹介し,解説を付け加えようと思う。

 

「勉強は分からないと楽しくないですから、逆に楽しいと勉強したくなるものです。」

私は小学校時代,学校の勉強は大っ嫌いだったが,宇宙は大好きで,宇宙の本を読み漁っていた。

「何でそんな事まで知ってんの?」と先生も驚くほどであった。

学校の勉強は楽しくなかった。
だから勉強しなかった。

星の勉強は本当に楽しかった。
楽しかったから,どこまでも勉強した。

では楽しくない学校の勉強を,楽しくするにはどうしたらいいのだろうか。私だったら,

  • 算数ならば,問題を解く楽しさを教える。新聞やネットで流れているちょっとした面白い問題を,一緒に楽しみながら解いてみる。
  • 国語の漢字や社会のように,憶えることが中心ならば,習慣づくまで毎日コツコツ訓練を実施する。
  • 理科のように,机上の学問+実験の両方で理解が進むものは,実際に実験をしてみる。それが無理なら,実験の様子を詳しく話してもらう。

こんな感じで工夫すると思う。

 

「大切なのは国語力です。国語力が無いとあらゆる分野の説明文が理解出来ません。国語力をあげる、最も簡単で楽しい方法は沢山本を読むことです。大人側のテクとしては図書館に連れて行って、読む以外何も無い状態にしておくと自然に本を読むようになると思います。」

我々は普段,日本語でインプットを行い,日本語でアウトプットしている。つまりお互いに考えていることを相手に伝えるための「手段」「道具」「ツール」,それが日本語なのである。

道具の使い方に精通していなければ,いい仕事はできない。だから我々は日本語,すなわち国語を学ぶのである。

K先生が後半に言いたかったことは,本を読む以外に何もできないという環境を作り出しましょうということ。

子供が勉強を始めたら,親はテレビを消して本でも読みましょう。
子供部屋にはマンガやゲームは不要なので,排除しましょう。
逆に,マンガやゲームが存在しない場所(リビングなど)で勉強させましょう。

とにかく,勉強に集中できる環境を作ってあげればいいのである。

 

「小学校の基礎力は大切です。簡単な暗算ができずに,いちいち携帯の電卓機能で計算する光景を見かけますが,正確でなくても概算がパッと出せるようになっておかないと,だんだん何をするにもおっくうになり,嫌になってしまいます。」

最近の大学生の計算力低下を憂う,教員ならではの言葉である。

先日の夏祭りに,地元の中学生に手伝いに来てもらった。私の隣でおもちゃの販売を担当してもらったのだが

「1000円引く750円のおつりはいくらですか?」
「600円のおもちゃで5000円もらったら,おつりはいくら渡せばいいんですか?」

といちいち尋ねてくるのである。

「引き算ではなく,足して1000円になる金額を出せばいい。それがおつりなんだよ。」

と教えたのだが,イマイチ伝わらなかったようだ。

計算が遅いとカッコ悪い。簡単な暗算すらできないと,仙台弁で言うところの「やんだぐなる」のである。やんだぐなるから勉強しなくなる。

 

「書いてある事や説明された事を,自分の言葉で説明したり,たとえ話で説明したり,図を描いて説明できる能力が必要です。話を聞きながら頭の中にイメージが浮かぶ,これが大事なのです。」

話を聞きながら,頭の中でイメージが浮かぶ。話を聞いたら「それはこういうことですか?」と図に描いて確認する。この能力は,本当に大事である。社会に出たら必須の能力と言っていい。

先生から何か新しい事を習ったら,図を描きながら自分の言葉で説明できるだろうか。説明できれば理解できているし,説明できなければ理解が甘いということ。そこが復習のポイントになると思う。

部屋に1枚,ホワイトボードを用意して欲しい。頭に浮かんだことを,サッと書いて説明できるような,適度な大きさのホワイトボードがあると,お子さんの理解度を簡単に確認できると思う。

 

「人に教える事が大事です。人に教えるという事は理解していないとできません。人に教える事で,自分が理解できていない部分を明らかにできます。自分だけの秘密にしておかないで,どんどん人に教えるのです。それが自分の勉強になるのです。」

進学校のクラスの雰囲気は,ライバルを蹴落とすために黙々と勉強するような雰囲気ではなく,互いに教えあう雰囲気があるという。 自分の理解を他人に伝えることで,記憶が定着する。他人に伝えるために考えると,理解が足りない部分に気づかされる。人に教えるということは,実は自分の勉強になるのである。

確かに,K先生は人に教えるのが大好きである。自分の言葉が伝わらなければ,別の角度から説明したり,たとえ話を使ったりと,とにかく相手に伝わるように,伝わるように話をしてくれる。それが自分の勉強にもなる事を,K先生はよく知っているのである。

私が道場を作った理由は,復習したかったから。技を定着させたかったから。師匠からある程度の技を学んだら,今度はそれを弟子に教えることで,技がさらに深まる。つまり道場を運営する人は,人に教えることが自分の稽古になることをよく知っているのである。

 

「ある分野を集中して勉強すると,それに引っ張られるようにして他の分野の能力も向上するようです。」

人間の能力は,特定の分野だけが突出して伸びるものではない。特定の分野だけを勉強していたとしても,その過程で自然と様々な分野の勉強も行っているはずである。

公立中高一貫校の入試は,国語や算数のように特定の能力を問う問題ではない。その子の小学生としての総合的な能力を問う問題なのである。

だから入試は「適正検査」,問題は「総合問題」と呼ぶのである。

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